認可保育園と認可外保育園、そして無認可

まだ記憶に新しい埼玉で起きたベビーシッターによる遺棄事件。
保護者の方は、インターネットによる紹介サービスを利用されたとのこと。
このことだけをとりあげて保護者の方を批判する声も聞かれましたが、
誰も望んで顔も知らない人に我が子を預ける人はいません。
そうまでしないと働けなかった、すなわち食べていかれない現実の前に、
いたしかたなく預けたというのが本当のところではないでしょうか。

この事件を機にして「ベビーシッターや無認可は危険」という声が多く聞かれるようになりました。
でもはたしてそうでしょうか。まず、このことと深い関係性をもつ「待機児童」についてお話ししましょう。
「待機児童」よく聞かれる言葉のひとつですね。
ちなみに、当園が所在しているひたちなか市は「待機児童0」をうたっています。
「え~嘘だぁ」とお思いの市民のあなた、よ~く読んでくださいね。
「行きたい認可保育園に入れたくとも空きがなくて入れない=待機児等」というのは保護者側の考え。
行政側から見ると「空いている認可保育園があるのにそこを希望しない=待機児童ではない」という考えなのです。
事例を出すと
自宅近くの認可保育園を希望しているA子さん。
しかし、そこに空きは無く、市は現在空いているC地区の認可保育園を紹介しました。
しかし、Aさんがそれを拒んだとします。(いくら車社会でもやはり遠い地区だと無理がありますよね)
するとそれはAさんの辞退ということになり待機児童にはカウントされないのです。
よって待機児童は0という表記になるのです。
「待機児童0なのだから、新たな認可保育園は増やさない、いや増やせない(予算との兼ね合い)」
と言うのが、ひたちなか市の考えです。「なんだかなぁ~」ですよね。ちなみに
認可保育所とは、児童福祉法に基づき都道府県又は政令指定市又は中核市が設置を認可した施設をいいます。
児童福祉法上の保育所に該当しない保育施設は、「認可外保育施設」または「認可外保育所」と呼ばれ、
設置は届出制になりますが、実際には5人までの乳幼児を預かる場合には届出は不要となっています。
(今回のベビーシッター事件もこれに当てはまります。)

ひたちなか市では認可外設置届を出している園を認可外保育園、その他を託児所等と分けています。
設置届は県に書類を提出するのですが、設備の基準から始まり、職員の数、保育時間や内容等、
児童福祉法、第四十五条の規定に基き細部にわたって審査があります。
よって、認可外保育園と呼ばれる園でも届出を出しているのといないのでは安全面や保育内容等に大きな差があるのです。
この届出、いかに重要だということが分かっていただけたでしょうか。
ご理解いただいた方はぜひ続けてお読みください。とてもややこしいのですが、
この届出済み施設もまた大きく二つに分かれるのです。
それは「認可外設置届済み施設指導監督基準を満たす旨の施設」であるかどうかということ。(当園はこの施設になります)
長い名前ですが、これは「認可保育園と同じ設備、職員、保育時間、保育内容ですよ」と市が認めた施設のことなのです。
届出以外にも膨大な書類の提出や立ち入り調査を経て得られる証なのです。
一般的な考え方ですと、この届出が行われていない施設は「無認可」ということかもしれません。
この証を得られると消費税が非課税になったり健康診断に係る費用の助成があったりと他の園より優遇されますが、
残念ながら認可保育園とは認定されません。なぜなら、前項で記したように「待機児童0」の市だから。
このような事情で当園は認可保育園ではありませんが、安心安全な園です。どうぞご安心ください。

この母親がどこまで行政に救いの手を求めていたかは知る由もありませんが、
以前、行政側の末端にいた人間として言いたいことは「もっともっと行政を利用しようよ」です。
「いやいや、役所に言うだけ無駄」「机上の空論を言われるだけ」「結局、何もしてくれない」
との反論もあるでしょうが、まずは行政のことを知ってみませんか。そこから何かの糸口が必ずあるはずです。

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